私の父の実家は東北書店のすぐ近くに在った。子供の頃、祖父母の家に遊びに行った時には丸光デパートやうすゐ百貨店と並び、東北書店は私の大切な遊び場所の一つだった。
うすゐ百貨店のオモチャ売り場を物色し、丸光デパート地下の10円寿司やタコヤキで腹を満たし、東北書店の大人びた雰囲気に暫し浸っては“勉強をしたような気分”に成って帰ったものだ。
狭い通路・天井に届くほど本が積まれた本棚・ギシギシと軋む木造店舗、どれもが一種不思議な空間を作っていた。
近頃は“勉強をしたような気分”にさせてくれる書店が少ない。郡山市では東北書店以外に無いのではなかろうか。
東北書店の本棚からは『お前さん達はこれを読むべきだ』と言う、店側の方針の様な物を感じる。こう言うのをポリシーと言うのだろう。
店員さんたちの行動や言葉には自信や誇りの様な物を感じる事がしばしばあった。
閉店の要因としては、経営難が大きな理由だと聞く。
広大な駐車場が無いと言う事は、車社会の現在では致命傷とも言える。 たとえ品揃えに不満が有っても、駐車場が有る郊外の大型書店へ足が向いてしまう。
東北書店閉店後、他の本屋さんは、郡山市民が東北書店に対して持っていた愛情や信頼を引き継ぐ自信はお有りでしょうか?
“売れる本”ではなく、“読むべき本”を並べるプライドはお持ちでしょうか?
社員がプロの書店店員に成るように教育する熱意はお有りですか?
今は、「第二の東北書店が早く登場して欲しい」と言う気持ちと、「東北書店を越えるような書店は登場しない」で欲しいと言う二つの気持ちが有ります。
私は相当動揺していたようで、欲しくも無い本を持ってレジに並んでいました。
店員さんから「記念にどうぞ」とカバー紙を数枚頂きました。
じっくりと見る事の無かったカバーですが、こうやって見ると良いデザインですよ。
東北書店の社長さん、社員の皆さん。ありがとうございました。お疲れ様でした。
□■□店舗情報□■□
店名 : ㈱東北書店
住所 : 福島県郡山市駅前2-7-15
電話 : 024-932-0379
定休日 : 元旦のみ
営業 : 10:00~20:00(1階) 10:00~19:00(2・3階)
…でした。
残念ながら東北書店は、2007年6月20日をもって閉店いたしました。
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