全国的に有名な喜多方ラーメン店“あべ食堂”の真向かいに在るパン屋兼菓子屋兼ラーメン屋である。
入り口付近には「お土産は 贈って笑われる 毒りんごサブレー」と書かれた手書き看板がある。
店内に入るとパンの陳列棚には「日本一まずいバターパン」とか「頭のよくなるソーセイジパン」などの変なパンが並んでいる。
自虐的と言うよりは一種の照れ隠しのような物かと思ったが、毒りんごサブレーを買い、箱に貼られたラベルの能書きを読んで、店主はタダの変な人なのではないかと思うようになった。
ラベルには、
毒りんごサブレーの上手な食べ方
・頭の悪い人は頭にあててから食べると、頭が良くなります。
・口の悪い人は口にあててから食べると、言葉がやさしくなります。
・顔の美しい人は顔にあててから食べると、さらに美しくなります。
・それなりの顔の人は顔にあてても、直りません。
・毎日食べると、体の毒を取ります。
などと書かれているが、正直言って全然面白くない。
これじゃ効能書きであって、毒というよりも薬に近い。毒をもって毒を制すという事か。
この辺で“毒”と言ったら先ず思い起こすのが那須の殺生石だ。
白面金毛九尾の狐という妖怪が、中国や天竺で散々の悪行を繰り返した末に来日し、美貌を誇る女性に化けて鳥羽上皇の寵愛を受けた。
やがて正体がバレて遁走した後に那須に出現し、旅人や現地の人たちを食い殺すなどの行為を繰り返したため、鳥羽上皇の命を受けた討伐軍により殺害されて、毒を吐く巨大な石と成った。
この毒により近隣の住人や動物などが死んでしまう被害が続出したため、源翁心昭(玄翁)という僧が、その巨大な毒石を打ち砕いたという。
現在でも有毒ガスは出続けており、現地には危険である旨が書かれた立て札がある。
ことほど左様に毒という物は、いつまでもしつこく、しかも無差別に害を及ぼさねばならない。
暢気に人の頭や口の悪さを改善していてはイケナイのである。
毒石を砕いた玄翁という僧は、喜多方市熱塩温泉の示現寺を再興した人だ。
喜多方はこれほど毒に因縁が有る土地柄なのに、山口製菓本店からは毒に対する畏怖の念が感じられないのが残念の極みである。
さて、毒りんごサブレーの味だが、強烈に甘い。
甘さ控えめが昨今の風潮だが、そんな事は全く意に介する様子は無く、ひたすら甘く作られている。
サブレを2枚重ねて間にジャム状の物を挟み込んであるのだが、私はてっきりリンゴジャムとばかり思い込んで食べていた。
しかしそのジャムの色は赤く、イチゴの種のような小さな粒々がある。
これってイチゴジャムなんじゃね?
パッケージの原材料の欄を見てもイチゴは書かれていない。
なんだか悶々としてきた。
あっ、この悶々が毒なのかっ!
■□■ 店舗情報 ■□■
店名 : 山口製菓本店
住所 : 福島県喜多方市字緑町4532
電話 : 0241-22-0336
定休日 : 不定休
営業時間 : 10:30-19:00
駐車場 : 2台
写真 : 毒りんごサブレー 100円/1枚(税込み) 箱入りは、5個と10個がある
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